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nichts ist unmoeglich Toyota(不可能なものは何もない!)

独ハンデルスブラッド紙、一面広告。(元バレリーナ・草刈民代さんの一面広告まではセンセーショナルではありませんが・・・ご勘弁を!)
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日本が誇るグローバル企業、トヨタの広告。

笑顔の彼女は、イギリスのトヨタの工場で働く女性、ブリディ・タッカーさん。

「Ihr Toyota ist auch mein Toyota/あなたのトヨタは、私のトヨタ」

とのキャッチコピーで、その下には、

「仕事中、何かに気づいたら、私でも、誰でも、どんな部署のどんな個人であっても、ラインのストップを実行することができる。ここ(トヨタ)では、誰もがクオリティー(品質)に対して、責任を持っている。それが、生産ライン(プロダクション)であっても、経営(マネジメント)であっても」

と、トヨタのTQM(Total Quality Management)のことを、易しく、詳しく分かりやすい言葉で読者にアピールしています。

日本で生まれ育った日本人の感覚からすると、TQMや、改善精神(KAIZEN)なども、特に経営・ビジネスとして勉強しなくても、育ってくる段階で、学校や習い事やクラブ活動なんかで、自然に身についてくるので、何をいまさら、そんなの普通の感覚じゃないの?と思ってしまうのですが、そういう文化背景がないヨーロッパでは、

「今の状態に満足してはいけない。もっと良くなるべき、改善されるべき、改善するべき」

とは、誰もが自然に考えるような発想ではないのです。勿論優秀な経営者などは、ずっとヨーロッパで生まれ育っていても、なぜか改善のような思想を持ち合わせていることが多いですが(生きていくうちの経験やセンス、または読書などによって“改善”に匹敵するような、ビジネスを向上、飛躍させるコンセプトに自分の力で気づいたということ)、ごく普通の人は、持ち合わせていないスピリットなのです。

日本人と国際化というと、何かと、日本人は英語が苦手で交渉ベタとか、ネガティブなことが先に語られがちですが、実は「このKAIZENスピリットを持っている・・・というだけで、日本人は、個人として既にかなりの国際競争力がある」と考えてよいのではないかと思います。

ちなみに、

「Nichts ist ummoeglich. Toyota.(英語で、nothing is impossible!)不可能なことは何もない」

というフレーズも、かっこいいですね!

でも、このフレーズは、アメリカやイギリス、アジアなど、他の地域でもそうなのでしょうか?

もしかしたら、この部分のキャッチコピーは、英語圏では、

「everything is possible!何でも可能!」

かもしれません。

というのは、ドイツ人(ドイツ語)は、ニヒルなパーソナリティー文化のせいか、否定形の否定で、ポジティブな事柄を表現することが非常に多いのです。

例えば他には、

「stelle...nicht ohne Stolz vor/誇りなしではなく、ご紹介します」

という、日本語にしても否定形でわけの分からないドイツ語の表現は、つまりは、

「 I proudly represent.../誇り一杯にご紹介します」

と、英語だと非常にシンプルで、ポジティブで、ストレートです。

私は英語の単刀直入さ、自分も周りも元気付ける太陽のような明るい表現も、ちょっと斜めり、控えめな中に、強い喜びと自負の念を込めるドイツ語もどちらも好きです。

日本語で言うと、どんな感じになるでしょうかね~。表現一つをとっても、キャラクターや文化が、面白いくらい鏡となって現れますね。

そしてグローバルビジネスでは、ローカルマーケティングとして、その国の人々に一番訴える表現をキャッチコピーとして使わなければならない。

トヨタの場合は、ドイツでは、

「Nichts ist unmoeglich/不可能なことは何もない」

という、否定形の否定が、一番多くの潜在客の心を掴む・・・ということでしょう。
by mikiogatawestberg | 2010-04-25 07:17 | インターカルチュラル
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