忘れられた芸術家、エドガー・エンデ

ドイツ人で、「エンデ」と言えば、ほぼ100%の方が、国際的な児童文学作家の

ミヒャエル・エンデ氏

を、思い浮かべると思います。

エドガー・エンデ氏・・・とは、ミヒャエル・エンデの実の父親で、美術史の中で、超有名な息子の影で、神隠れにあった芸術家とも言われるほど、日本やその他の外国だけではなく、ドイツであってもその存在が殆ど知られていない画家(アーティスト)です。

作品の特徴から、無意識を意識化、具現化して芸術とした、ダリなどのシュルレアリストにより近く、大まかにはそのようにカテゴライズされることもあるようなのですが、実際は、一人の人間の無意識など、個人的で具体的なものではなく、目に見えない精神世界や死後の世界・宇宙の原像をそのまま捉えた(=彼自身は、その宇宙からのメッセージを受け取るというだけの、チャンネルの役割)世界を絵画という形にしたということで、当時、時代も、ヒットラーや、世界大戦なども重なり、常に厳しい批判を受けていて、結局生存中は、陽の目を見なかったとのこと。

実の父親としてだけではなく、アーティストとしても父親から大きな影響を受け、その影響が自分の文学作品にも直に反映されているという、息子のミヒャエル・エンデが、エドガー・エンデの研究家で、美術評論家と対談して、エドガー・エンデの実像に迫るという、貴重な本を、先日読みました。
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私が、ミヒャエル・エンデ、続いて彼の父であるエドガー・エンデに、本格的な興味を持つきっかけとなったのは、もちろん、あまりにも有名な、果てしない物語(ネバーエンディングストーリー)や、モモ、そして、うちの子供たちをはじめ、ドイツの子供たちに大人気のジムボタンなどの作品など、他の児童文学作品とは比にならない、時間と空間の広がりのある世界観に常に魅了されていたというのもありますが(これらの作品は、一度読んだら、元に戻れない、忘れられないような強烈さと鮮烈さがありましたよね!)、私の場合は、ここ数年、作品を超えた、ミヒャエル・エンデという人物やがとても気になるようになってきたのは、シュタイナーが入り口でした。

シュタイナー人智学を学ぶにつれ、シュタイナー思想に大きな影響を受けた芸術家などを知ることになったのですが、その中の一人に、「ミヒャエル・エンデ」という名があったのが、とても印象に残っていたのです。

そしてその後、日本でのシュタイナーの第一人者である子安美和子さんと、ミヒャエル・エンデ氏の対談書籍を読んだのです。ここで、ミヒャエル・エンデが、生涯を通して、シュタイナーの人智学の書籍を繰り返し熟読していたこと、そして彼の作品にもシュタイナー世界観が明らかに反映されていること、また、エンデ氏が、ドイツ人の奥様に先立たれた後、日本人女性と結婚されたことも知りました。私は、シュタイナーをここ数年掘り下げているので、シュタイナーを知ってから、ミヒャエル・エンデの作品を読み直すと、明らかに彼の描く世界観が、よりクリアな輪郭を現すと同時に、シュタイナー人智学がそこから切り取っていけるような読み方が出来るようになり、発見が一杯です。シュタイナーを勉強されていて、小さな頃、ミヒャエル・エンデの作品に魅せられていた方は、是非、エンデの作品を読み直してみてください!世界が更に重厚になり、シュタイナー&エンデ、どちらの作品もより深く味わえるようになります。

加えて今回、エドガー・エンデ氏に関するこの本で更に新たに知ったのは、ミヒャエル・エンデの死の床には、シュタイナーの「神秘学概論」という書籍が置いてあり、死の直前まで読み返していたということでした。

神秘学概論は、私もシュタイナーの理解が浅い時に一回読んで、途中で訳が分からなくなってしまいながらも、最後まで通しで読んだのを覚えています。それもでも、数年前。その時と比べると、大分理解力が高まってきていると思うので、読書の秋、気合を入れて、再度読み直してみようかなあと考えています。

一人のアーティストの生涯を見る時、そのアーティストが、どんなアーティストやどんな人々と(私生活も含めて)交流を持ち、影響を受けていたかまで辿っていくと、芸術作品から、より生身で立体的なメッセージや、ホリスティックな世界観が顔をだし、もっともっと色々なことが見えてきます。そして、時代や国を超えて、関連や影響がある物事や人をどんどん結びつかせながら、最後に自分まで結びつけると、更にクリエイティビティーを磨いていくことが出来るような気がします。

大戦で、その多くが燃えてしまい、失われてしまったといわれる、エドガー・エンデの貴重な作品:
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*また、今年夏のゲーテインステュートによる、世界57カ国4000人を対象にした、好きなドイツの文学作品を問うアンケートでは、見事第1位に、ミヒャエル・エンデの「果てしない物語」が選ばれました!不動の人気ですね。「モモ」は6位に入っています。2位は、ケイト・ウィンスレット主演の映画「愛を読むひと」でも注目を集めた、同映画原作の「朗読者」、3位は、やはりドイツの伝統的なファンタジー小説「クラバート(ドイツの子供たちが、学校で読みます。私も最初の頃通っていたドイツ語の学校のクラスで、読んだような・・・。結構難しかったのを覚えています)」ということ。

シュタイナーというと、極端だとか、カルトだとか、大ファンがいると同時に、最初から拒否反応を示す人も世界的に多いのですが、シュタイナーの世界観を反映したミヒャエル・エンデの作品は、それとは知られず、子供や大人に愛されている。精神世界については、そうやって、芸術の作品中に、分からないように、見えないように上手に組み込んでいくのが、一番、スムーズにナチュラルに広めていくことが出来るやり方なのではないかと思います。

実際、インタビューの中でも、ミヒャエル・エンデも、「だから、児童文学という形を取っている・・」と、述べていたような・・。全く違う、新たな世界観を、全然違う世界の人に、魅せていく時のアプローチ、恋愛とか仕事でも、情熱とテクニック、両方が必要ですよね。
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by mikiogatawestberg | 2010-09-24 01:40 | スピリチュアル・Spiritual
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