ヒーターの故障は、来週まで持ち越しになるかも?!

ドイツでは朝シャワーを浴びる人が大半で、夜お風呂に入る習慣は基本的にはないのですが(ウェルネスやリラックス目的でバスタブに浸かることは、時々あります)、私は、ボディローションなどのボディケアもしたいし、清潔な身体でベットに入りたいので、ドイツでも今だに日本風に、夜お風呂に入り続けています。

昨日の夜、子供たちも寝静まり、今日も1日頑張った!と、お気に入りのバスオイルで、リラックスしようとバスタブの蛇口をひねったところ、数分経っても熱いお湯が出てきませんでした。「チェックや検査などのための、一時的なものかな~?」と、残念だけどしょうがなく思い、疲れていたし、夜遅くに管理人に電話を入れるのも気が進まなかったので、水に近いぬるーいお湯で震えながら身体をささっと洗った後、ベットに入りました。

次の日の朝、子供たちを着替えさせ、いつものように「速く歩かないと、また遅刻するよ!」と、大声で言いながら、うるさい3人を連れて、アパートの地上階に向かって階段を下りていると、同1階の住人であるイラン人の中年男性が、私たちが階段を下りてくるのを聞きつけて、ドアを開けたような感じで、話しかけてきました。

「昨日からあなたのところでも、ヒーターつかないでしょう?」と、彼。

「えーっ、そうですか?気付かなかったけど・・・(ヒーターがついていなかったのに、なぜか我が家は子供の熱気でか、私も子供も気付かなかったほど、あまり寒くなかったのです。)あっ、でもそういえば確か、昨晩お風呂に入ろうとした時、お湯が出なかったわ!」と、私。

幼稚園に子供を早く送らなくては・・と急いでいたのと、もし何か任されたら、ちょっと面倒くさいなあと思ってしまった私は、左側のメッセージボードを指差し、

「そこの掲示板に、管理人さん直通の電話番号が貼ってあるから、まずそこに電話をしてみれば・・・?」と、彼に頼んだような形で、その場を去ってしまいました。彼も「じゃあ、そうしてみる」と確かに言ったので、一件落着と思っていたら・・・。

子供を送り、家に帰ってきた私は、キッチンで今日1日のタイムプランに考えを馳せながら、オーガニックコーヒーを1人でゆっくり愉しんでいると・・・、いきなり、玄関のドアをトントン叩く音。先ほどのイラン人の男性が、ドアの前に立っています。ドアを開けると、

「今日連絡を取らないと、多分明日はもう金曜日だから業者は修理に来てくれないし(*ドイツでは金曜日は、既に週末モードに入る会社が多く、早く人が帰宅してしまったり、中々つかまらないことも多いのです)、そうなると、きっと、来週までヒーターも、お湯も使えないことになるね」と、穏やかな口調ながらも、私にも、「コトの緊急性に気付いて~!」と、訴えるような視線。

・・・そこでやっと私は、ハッと気付いたのです。彼は自分がでなく、最初から私、又は私の主人(私の主人はドイツ人だし、よく管理人と密に連絡を取っているということを、彼は知っています)が、管理人に連絡することを望んでいたのです。

やっとそれに気付いた私は、

「そうですね。とりあえず、主人に今連絡して、すぐに管理人さんに連絡するよう、言ってみますね」

すると、やっと上手く真意が伝わった!という感じで、「ありがとう!」と言って、笑顔で階段を下りていったのでした。

~ここからが、インターカルチュラルな視点の分析になりますが~

まず、この私のご近所さん、イラン人の中年男性ですが、決して怪しい方ではなく、ドイツ在住歴も長く、ドイツ語にも全く支障はなく、身なりもこぎれいな紳士風で、ファッション関連のお店を、同居しているイラン人のガールフレンドと一緒に、フランクフルト市内で営んでいます。同じ近所に住む人々に、一般的に関心度の低いドイツ人に比べて、うちの3人の子供たちにもとても優しく、いつも笑顔で接してくれたり、たまにお菓子をくれたりします。態度も穏やかで、騒がしい子供たちにも寛容なところなど、全般的にアグレッシブで、騒音に敏感で神経質なドイツ人に比べると、どちらかというと、対人関係やコミュニケーションスタイルは、私たち、東アジアの文化に近いのかもしれません。
イラン(以前にもブログでご紹介したように、ドイツにとってはNahost【近い東】です。日本はFernost【遠い東】)は、それでもヨーロッパの影響は、日本・韓国・中国の東アジアより断然大きいし、宗教や言葉はまたヨーロッパともアジアとも違う、独自なものを持っていることはご存知の通りです。

例えば今回のことも、ドイツ人であれば、

「昨日からヒーターの調子が悪いので、私はちょっと今日都合がつかないし、あなたの方が管理人さんと親しいから、電話しておいてくれますか?」

と、直接的にに自分の“訴えと要望”を私に言ってきた筈。でもこのイラン人の彼は、同じアパートの住居人として、私も彼と同じ問題(ヒーターが機能しない)という問題を抱えているということに、まず私を気付かせ、説得し(早く対処しないと、週末ずっとヒーターがつかなくて凍えて大変なことになるよ!と)、そして、私の口から、あくまで自発的に、

「じゃあ、管理人さんに連絡を取ってみます」

と言わせようと、婉曲的に上手くもっていったのです。そうすれば、これはあくまで私自身の気付きと行動になるので、「彼の要望を叶えた」とか、「彼に使われた」とかの感情を抱かれなくて済む、という訳。

私が今回ビックリしたのは、私自身が、発せられた言葉の額面どおりからしか、物事や真意を理解しない“ドイツ人のようなコミュニケーション態度”を、無意識にとってしまっていたことでした。日本人なのに(?)、最初の時点で、彼の真意を全く見抜けなかった・・・。

「ここはドイツ」なので、自分の中のカルチャーモードを、意識的にドイツ照準にしていることもありますが、それだけは決して充分でなく、ドイツはドイツでも、外国人は沢山いて、私も含めて、皆それぞれの文化を背負ったまま、ドイツ社会に生きているということも、更に考慮に入れなくてはならないことだったのです。

もちろんここでは共通のルールは、「ドイツ式」になるわけですが、それぞれドイツ化の度合いや意識度が違っていて、たまに外国人同志で、今回の私のように、食い違うこともあるということ。またこれに加えて、同じ国出身でも、個人差があるのも特徴です。例えば今回だったら、最初からドイツ人のように、「管理人さんに電話しておいてもらえますか?」とドイツ式に言ってくるイラン人も、必ずいるはずです。


・・・インターカルチュラルトレーニングで、欧米人のトレーニングをする際、日本式の苦情の述べ方と、欧米のそれの違いを説明する時によく使われる例に、

「夜遅くまで、ご熱心なピアノの練習ですね。お嬢さんの将来が楽しみでしょう。」というフレーズがあります。

特に欧米人のトレーナーが、好んで使う例なのですが、このフレーズの真意は、「褒め言葉に包まれた苦情」。話し手の近所に住む女性の娘が、夜遅くまでピアノの練習をしていて、実はうるさくてとても迷惑しているため、これを言う事で、相手から「あら。音がそんなに聞こえていたなんて存じませんでした。これからは、夜遅くの練習はさせないよう気をつけますね」という、自発的な気付きと言葉を導こうとしている、、、と説明されます。

ちょっと話し方も古い感じの極端な例で、実際こんなシチュエーションないよ!と思われるかもしれませんが、外国人が日本人特有のコミュニケーション方法(褒め言葉に混ぜる、直接的にものを言うのを避ける、相手にそれとなく気付かせる)を学ぶ際の分かりやすい教材的な文章として、今でもトレーニングやセミナーでよく利用されています。

ちなみに、外国人の50%以上は、この文章が「苦情を含んでいること」に気付かないという結果が出ているのだそうです。



↓ところで、これが噂のドイツのヒーターです。私は早速主人に電話をかけ、今回の事情・いきさつを話し、「管理人さんに、急いで電話しておいて!」と頼みましたが、果たして週末、どういう展開になることやら・・・。管理人さんがすぐ反応しない、業者が来ない、、、など、また一山あるかもしれません。日本ではフツーで、なんともないことが、滅多にスムーズにいくことがないというのが、ドイツライフです。
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by mikiogatawestberg | 2008-02-21 23:22
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