宗教改革者 マルティン・ルターの素顔
絶対に行きたいと思っていた、マルティン・ルター展。フランクフルトから車で1時間くらいかけて、開催地のマンハイムまで、行ってきました!美術館外観↓
宗教改革で、古いヨーロッパを揺るがし、プロテスタント派の始まりとなった、かの有名なマルティン・ルター。当時は、彼がヨーロッパの人だとは理解していましたが、ドイツ人だとは知りませんでした(忘れただけかも・・)。でも、中学や高校時代の世界史の授業で、何度彼の名前や年号を見かけ、暗記し、テストで書いたりしたか、今でも鮮明に覚えています(結局、彼の何が革命的だったのか、本当のところ、具体的に何をした人なのかは、テスト前に繰り返し勉強した割には、どこにも記載が出てこなかったような・・・。これも記憶が残っていないだけかしら??) でも、名前と共に、ずっと忘れることが出来なかったのは、印象的な彼の肖像画↓。 「懐かしい~」と、私と同様に、学生時代を思い出された方も、多いのではないでしょうか? この肖像画は、教科書に載っていたものと同じで、今回のルター展のPRポスター(この肖像画入り)を、フランクフルトの駅で見かけた時、「これは、行かなくては!」と、私の心の奥底にずっと、ひっそり記憶を残していた、教科書のルターさんと、時と場所を越えてバチッと出会ってしまったのでした。(まさか当時は、ドイツに住むようになるとは、想像もしていなかったことですが・・・) どうして、日本にキリスト教を伝えにヨーロッパからやってきた、フランシスコ・ザビエルと同様に、ルターさんが、私にとって「忘れ得ぬ人」となったかというと、原因は、この肖像画が醸し出す、何かを決意しているような、睨み付けているような、またなんだか怒っているようにさえも見える、唇ときりっと結び、厳しく正面を見据えたルターさんの神秘的&読みにくい表情にあります。 宗教改革者ということで、厳しく、抜け目のない、論理・頭脳派・・・・と、勝手に想像していたのですが・・・ 今回ルター展をじっくり回り、彼は確かに、頭脳が明晰ではあったけれど、決して従来的な「頭の良さ」でなく、過去になかったこと、禁止されていたこと、タブー(当時の人々は、これらを、世の常識として、単に理解したり、反発することなく伝統として受け入れていたこと)に対して、自分自身の頭で考え、次々と、型破りで情熱的な行動を、生涯貫徹した人物ということが判明し、意外でびっくりしたのです。 例えば彼の父親は、鉱山業で成功した経営者で、ルターは裕福な家で育ちましたが、家名と富を増幅していくための“手段”としての派手な結婚には見向きもせず、“愛”を基準に、自分自身で結婚相手を決めました。 相手は、尼僧のカタリーナという女性。司祭と尼僧の結婚というのも、もちろんスキャンダラスなのですが、2人が結婚に至るまでのエピソードは、更に衝撃的。 元々は、このカタリーナという女性は、ルターの男友達と結婚する予定だったのですが、この男性の父親が、結婚に反対し、それによって、その男性も結婚について渋ってしまった時に、ルターが親友として、2人の間に立ち、結婚を決断するように説得しているうちに、カタリーナとルターの間に、愛が芽生えてしまったということなのです。 いってみれば、「略奪婚」。 更に、このカタリーナという女性もとてもキャラの強い女性で、ルターと結婚後は、主婦として家に入り、家事や子育ての切り盛りを主に担いましたが、ものすごい経営・ビジネス感覚に優れ、家庭内の経済を、会社経営のようにマネジメントする才能を開花させたということなのです。ルター家は、いつも多くの友人の行き来が絶えない賑やかな場所で、ホームパーティーも盛んに開催していたとのこと。 この時代、正に2人は、ぶっ飛んだ夫婦という感じだったのだと思います。 ・・・などなど、固く厳しい表情のルターさんの意外な素顔を知り、「人は、見かけで判断しちゃあいけないなあ~」と、思った私なのでした。 ルター展では、マルティン・ルターの人物そのものだけでなく、彼の生きた時代背景についての、展示物や資料も多く、これらもとても興味深いものばかりでした。 例えば、この時代、結婚式で花嫁がかむる冠には、沢山の宝石に加え、ひらひらと葉っぱのような薄い金・銀の細工↓ が、何個も重ねてつけられているのが特徴で、この細工は、ドイツ語で「flitter(フリッター)」という名前がつけられていました。 現代のドイツ語で、「Flitterwoche・フリッターボッヘ(週)」という言葉があるのですが、これは英語でいう「Honey Moon・ハネムーン」に相当し、結婚式を終え、旅行に出たり、新生活をスタートしたりする新婚ホヤホヤの一週間を意味しています。殆どのドイツ人は、このフリッターボッヘの「flitter(フリッター)」の意味を説明することが出来ず、またこの言葉が、15世紀、マルティン・ルターの時代の結婚式の伝統に由来していることを、知りません。・・・・・こんな、ドイツ人でも知らないような知識を吸収することが出来たりすると、わざわざ、美術館などへ足を運ぶ意味があるなあ~と、さらに、得した特別な気分になりますね~♪ ルターが遺した多くの名言の1つ: 「20の悪魔が居る所には、100の天使も居る」 時代に残る革命者となるための、必須の心構えは、 ポジティブマインド というところでしょうか? 常に、大きな希望と、野心を持って、人生を精一杯に生きる・・・500年前の偉人の人生に触れ、気持ちが鼓舞されました♪
by mikiogatawestberg
| 2009-10-25 06:13
| 文化・Culture・Kultur
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