マルハナバチ・エネルギーシステム社
今年最後の日独経済対談、テーマ「再生可能エネルギー・大型発電所に代わる分散型熱電供給システム」に行って来ました。
スピーカーは、オランダの会社をパートナーに持つ、ジョイントベンチャードイツ企業「マルハナバチ・エネルギーシステム社(HUMMEL Energie Systeme)」のCEOヨハン・リッパート氏。なんと2007年創業(私の会社より、若い!・・・比べるのもおこがましいですが・・・)で、元気で大注目の企業です。 正に私にとってストライクなテーマなので、期待して赴きましたが、内容も、とっても、とっても興味深いものでした! まず“再生可能エネルギー”と聞くと、私たちがすぐに思いつくのは、風力発電、水力発電・・・といったところだと思いますが、ドイツを中心に、いまや日進月歩でこの分野の研究開発は進んでいるということで、実際に、発電方法には具体的にどんなものがあるかというのを、沢山例を挙げて詳しく説明してくれました。 例えば、海のエネルギーを利用する水力発電には、単なる「水」の物理的な力ではなく、海や海水が持つ特徴を活かした発電方法(引き潮・満ち潮の原理を使ったもの、海水の塩分の差を利用したものなど)があると聞き、感心しました。そして今、まだまだ「海」「海水」の持つ可能性は模索されている段階であり、これからもっと色々なアイディアがでてくるだろう・・・とのことでした。 「潮の満ち干を利用する」・・・ということは、イコール「月の引力を利用する」・・・とも換言できるはず。・・・こんな風に、「過去にずっとあって、今もずっとある“自然の偉大さ”を再発見しながら、人間の創造性が活かされて、私たちが生きていくためのエネルギー(しかも再生可能!)が生み出されていく」といういう事実に、胸がドキドキしてきました。価値観を根本的に変えていくような環境ベンチャービジネスは、本当に面白く、聞いているだけで興奮します。 また現在、再生エネルギー生産量の世界ランキングは、ドイツは、アメリカと僅差でなんと世界第2位。アメリカの27分の1というドイツ国の面積と比較して見ると、ドイツは断然世界トップというレベルです。日本は13位でしたが、こちらも相当優秀な順位ということでした。 他にも、空気熱・地熱を使った発電、また、「太陽熱で水素を作り出す」・・・なんていうのも、今実験が進んでいて、期待が寄せられているそうです。 あと、オーガニックのエキスパートとして、もちろん気になるのは、バイオ(BIO)エネルギーの可能性です。植物資源は、石油資源と違い、サステイナブルであることはもちろん、環境汚染物質を発生させない、廃棄物も安全、Co2問題もクリア・・・などで期待されています。「酸性雨の原因となる“硫黄”を発生させない」・・・ということは知らなかったので、今日収穫した貴重な知識となりました。 また、植物オイルは鉱物オイルと比べて、Vielseitig(多面性・マルチ機能を持つという意味の、ポジティブなドイツ語)ということが強調されていて、それゆえに、エネルギー源としても多様な可能性がある・・・という主張にも、共感!これはオーガニックコスメにおいても正にその通りなので、なんだかピッタリと繋がっていて嬉しかったです。 一方で、バイオマスの是非については、世界的に議論の余地がある(ドイツ語で、umstritten。英語だと、argumentative)トピックでもあるのですが、予想通り、今回のこの会合でもディスカッションで大きく取り上げられました。また、バイオディーゼル(Bio-Diesel)は、菜種オイルや大豆オイルなどの植物オイルを原料としている一方で、鉱物オイルとミックスされ、化学的に合成されるので、結局植物オイルの価値が活かされず、最終的には環境に対しては、従来タイプと同様に負荷となってしまうこと・・・も、考えさせられる問題です。 後は、今日のテーマ「・・・大型発電所に代わる分散型熱電供給システム」とあるように、これら、再生可能なエネルギーを、集中・中央型(Zentrale)でなく、分散型(Dezentrale)で供給するするシステムをつくることの重要性が、大きく主張されていました。小さくパフォーマンスの良い施設を開発し、数を増やしていくことが成功へのキーとなっていきますが、現在大型発電所の維持で既得権益を持つロビー活動(Lobby)なども大きく関わってくる複雑な現状の政治が壁となり、そう簡単に進まないだろう・・・と、ほぼ参加者の意見が一致。・・・私も残念ながらそう思いました。。。 ・・・・・が、CEOのリッパート氏は、ポジティブで自信満々の様子で、流石だなあと思いました。 道は長くとも、壁は途方もなく高くても、最初から諦めては、何も変わらないんですね。・・・環境・エネルギーという分野に限らず、経営者としても絶対常に必要な心構えだと思います。まだまだ私は、簡単に諦めすぎる・・・元気なベンチャー企業の社長さんには、まだまだ私はポジティブさが足りない・・と思い知らされます。 ちなみに、マルハナバチ社は既にメディアでも取り上げられていて、そこでは、クリーンなエネルギーを生み出す会社という意味で、「Weisse Energie(白いエネルギー)」と紹介されているとのことでした。 最後に、どうして会社の名前を、マルハナバチ(Hummel)と命名したのかについて、、、、、 マルハナバチという蜂は、物理的に考察・分析した場合、体重と羽の面積の比率から、「飛ぶことは不可能」な構造になっているのだそうです。 が、なのにも関わらず、マルハナバチは、もちろん、 飛ぶことが出来る。 そこから、各分野の専門家を含め、「周りからは不可能と言われたことでも、数々のイノベーションを現実にしてきた、していく会社」 という意味で、マルハナバチ(Hummel)と付けたのだそうです。 ストーリーも込められた想いも素敵♪ 最近の最先端の環境・社会ビジネスは、科学を超えたスピリチュアル的な要素が見え隠れしている事実、またそれがビジョンや行動の原動力となっているところも、大変興味深い兆候だと思いました。 ドイツ語で、 Geht nicht, gibt's nicht 無理なことは一つもない。nicht ist unmoeglich。 座右の銘にしたいくらい、良い言葉でした! 学びの多かった金曜日。皆様も素敵な週末をお過ごし下さい♪
by mikiogatawestberg
| 2009-11-28 02:57
| ビジネス・Business
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