何かを語るために必要な、credibility(信頼性)
昨日のトヨタについての記事で、色々な方から、反響やご意見を頂きました。ありがとうございます。
ブログ記事の中で、 東京でこの取材をした同誌の記者が、どれだけ日本の文化に精通しているのか分かりませんが、豊田氏の言動の意味を、ドイツ人の読者に分かりやすく伝えようとしている意思は感じます と、私は書きましたが、ドイツ国内でも、このテーマが大変繊細で重大なだけに、 「一体、誰がこの記事を書いたのか?」 という疑問が、記事自体の反響以上に、読者から多くハンデルスブラット紙に寄せられたのかもしれません。 ・・・というのは、次に続いて出た記事に、記者についてのプロフィールが大きく載っていたからです↓ 私自身、興味津々だったので、すぐに読みましたが、なんと冒頭部分に 「Anfang des Jahres(今年初めから!!!)、東京でハンデルスブラット紙の特派員」 とあり、思わず、大ショック。日本に来て、さっ3ヶ月未満ですか・・・?!?!?! もとは弁護士で、ハンデルスブラッド紙には1999年から勤務、政治分野に通じている・・・・・ということですが、これだけでは、彼が、3ヶ月に満たない在日から、「日本」や「日本人の文化」について、大御所の経済紙ハンデルスブラッド(日経に相当)で、語れる信頼性(英語でcredibility)を持つとは、どんな素人も思いませんし、大切で厳しい目を持つ読者から、同紙自体の信頼性を、失う可能性だってあります。 一つプロフィールの中で、大きな輝きを放っていたのは、 「・・・ist einer Japanerin verheiratet/日本人女性と結婚している」 という部分でした。この事実が、彼に、豊田氏の言動について語る100%の信頼性を与えてしまうのか???というのは、はっきり言ってとってもショックでした(きっとお辞儀についての解釈も、奥様の見解などが大いに入っているのでしょう)。でも同時に、天下の独ハンデルスブラット紙でも、経済・ビジネス・政治に通じ、ジャーナリストとしてのしっかりとしたキャリアがあり、その上でその国の言語や慣習に理解がある人材を見つけるのが、いかに困難であるかということでしょう。ことにやっぱり、ヨーロッパ内でなく、「日本」という、地理的にも文化的にも、言語的にも遠くはなれた国だと、それが現実なんだと思います。でも、逆を考えると、日本人で、ドイツについて通じている人材は、ドイツで日本に通じている人材より、ずっと多く、質も高いのではないでしょうか?・・・「ドイツ人男性と結婚しているというだけで、ドイツに来て3ヶ月の日本人女性が、日経新聞に、ドイツのメルセデスベンツの記事を書く」・・・とは、まず現実的に考えられないでしょう。・・・でもまあ、日本の日経新聞で、経済関連の長いキャリアを積んでいた女性だとしたら、まあありうる(?)話になるのかもしれません。 ・・・しかしもう一方で、、、ことにインターカルチュラルな事項に関しては、「誰が、語る権利を持つのか?」ということについて、一筋縄でいかないことがあることも事実。にこの記者の方も、もしかしたら、ドイツにいるうちから、日本人の奥様に、日本について、正しく、最新の情報を集中的に得ていたのかもしれないし、もしそうだった場合は、在日がたとえ長くても、日本社会に交わることなく、日本語を学ぶこともなく、東京のドイツ人サークルの中にとどまっているような人材なんかよりは、よっぽど、日本について「語る」権利を持っているとも言えるかもしれません。 簡単に回答が出るような、テーマじゃないのですが・・・ 1点だけ、とても良いな~と思ったのは、 同ケウヒェル記者の描く日本についての記事、彼の日本への視点自体が、とてもポジティブであること。 情報が少なく、遠い国のこととなると、一方的に批判的に書く記者が残念ながら多い中(こういう人たちは、自分たち自身にその国への知識や敬意がないため、批判的な文章にした方が、自分がインテリに、特別に映ると勘違いしているのです)、 同記者の場合、愛する奥様の国は、知識のレベルに関係なく、中傷するのでなく、同じ愛情を持って眺めることが出来るんだと思います。 同時に、ポジティブにしろ、ネガティブにしろ、偏見が記事なんていうのは、一つもないというのも事実で、これは読者としては、いつもそれを忘れないようにしないといけません。 ・・・今回のこのトヨタについてのように、イメージが今後の同社の未来を決定してしまうような場合は、事態についてポジティブに書かれるということが、ビジネスマンや投資家が読者であるハンデルスブラット紙なんかの場合は特に(!)、億、兆レベルの、経済に与える影響になりうるといっても、過言ではないのではないかと思うのです。 そう考えると、日本人として、日本の会社の発展や日本の未来のために、何ができるのか?と言えば、、、 「人間対人間(一対一の個人レベル)の関係性に於いて、着実に良いイメージや信頼や、愛を育んでいくこと」 地味で長い道のりですが、、、、、結局最後は、これしか、ないのでしょう。
by mikiogatawestberg
| 2010-02-21 23:59
| インターカルチュラル
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