ONE DAY
久々に、英語のペーパーバックで小説を読みきりました!
タイトルは、ONE DAY。David Nicholls原作の、ベストセラー。既に映画化され、全米では今年の夏に既に上映、ドイツでも11月に上映予定のようです。映画は「プラダを着た悪魔」主演のアン・ハタウェイ主演で、イギリスを舞台に、大学時代から20年に渡るEmma(アン・ハタウェイ)とDexter(ジム・スタージェス)の友情とロマンスを描いたもの。You Tubeで見つけた、オフィシャルトレーラーは、こちら。 ロマンチックでありながら、現実離れした夢の国の物語でなく、「ありがち」ナエピソードが混じり、登場人物やセリフにリアリティがあるラブストーリーが、基本的に私の好み路線。そんな意味では、軽く読めて、共感を呼ぶお話でした。ただ、ものすごいハンサム役としてでているジム・スタージェスが、あんまり好みでなかったのが残念。・・・というか、Dexterのキャラクターがどうしようもない系の男で、それと裏腹に、Emma(アン・ハタウェイ)が輝くような、、、そういう構成に意図的に俳優を選んだのかもしれません。 これから本を読んだり、映画を観たりする方も多いと思うので、あまり詳しい中身には触れませんが、このストーリーは、大学を卒業してから始まった2人の関係のその後約20年、時に一緒に、時に離れながら、それぞれ通過していく平凡な日々やキャリア、ライフイベント(結婚や出産)などを通して、2人の関係も常に微妙に重心を変えてくプロセスが、丁寧に描かれています。最初(学生時代)は華やかで、ぱっとしないEmmaに殆ど気を止めなかったDexterが、最後には、マイペースで忍耐強く人生を歩み、人生の不公平さや辛さを身を持って味わってきたEmmaを追っていく・・・と、段々と立場が逆転していくのです。・・・そして、最後の結末・・・。 アン・ハタウェイは、ハリウッドでは、ラブ・コメディの典型的な主役タイプという、位置づけのようですね。プラダを着た悪魔のイメージが強いからだったかもしれませんが、可愛いけれども、ちょっとダサ目で、インテリで素直で正義感が強く、見かけも、クールなブロンド美人とはちょっと違って、万人受けでなく好みによる・・というところ。私は普通に好きな女優さんですが、ヨーロッパでは、女性の目からみて、好き、嫌いが分かれる女優さんのようです。 例えば今回は、イギリスが舞台の小説の映画化・・・ということで、アン・ハタウェイを嫌いな女性は、「彼女の英語が、イギリス英語でないから、原作が台無しになってしまった!」というレビューだったり、一方で、ファンの女性からは、「でも他にイギリス人の女性で、Emmaの適役はいないのでは?」という指摘があったり、中々面白くて、思わず読んでしまいます。最近他には、イギリスの女優、Keira Knightleyがロシアの「アンナ・カレーニナ」を演じることに決定し、インタビューで「ロシア風英語でなく、そのままイギリス英語でいきます!」と断言していたのが、興味深かったです。原作に忠実というより、自分のオリジナルを通す・・・「原作勝負か?」「女優(主演)勝負か?」ということで、強気な女優さんの場合、歴史的な文学作品やベストセラー小説の映画化というプレッシャーを前にしても、「自分色で!」と思えるんですね、すごい自信! 最近は、私はどんな本でも、本からそのまま大きな影響を受けることが少なくなってきましたが・・・ それでも久々に読んだ小説、このONEDAYからは、Emmaが、パリに住むことになり、ジーン・セバーグの真似をして、ショートカットに髪を切り、エアポートでDexterを迎える場面があるのですが、、、、、なぜかこのシーンに影響を受けて、私も髪をばっさりカットしたくなり、翌日に、バサッと、数十センチきってしまいました!(・・・というか、この小説を読まなくても、カットしなければならないほど、伸び放題だったのですが・・・) あとは、Emmaは後に、ロー・ティーン向けの少年・少女向けのラブストーリー本(絵本と小説の間のような存在)を書く作家になるのですが、私は生まれて初めて、この小説を読んだ後、はじめて、小学校低学年向けのラブストーリーというカテゴリーを意識するようになりました。・・・日本だと、児童向けの絵本があって、その後は、子供向けのラブストーリーというカテゴリーは殆ど存在せず、いきなりスキップして、エッチな感じの少女マンガや小説になってしまうイメージがあって、この中間存在が抜けているために、子供たちが、本来は美しいものである、「人を想う気持ちとか、慕う気持ち」をきちんと理解せず、いきなりギラギラの商業社会の愛や性に浸かってしまうようになるのが、前々から残念なことだなあ・・・と思っていたのです。そしてこの時期に作られる男性・女性観は、一生影響するのでは?と、実際大人になった同年代以上の人々をみると、さらに強く感じます。なので、本来はもっと、商業主義作家でなく、どちらかと言えば、児童作家がもっと社会的責任に気付き、やりがいを感じて、「教育」として、舵取りをすべき部分なのではないかなと思うのです。親も、小学校低学年から中学年にかけてという時期は、熱心に読み聞かせをしていた幼児期・児童期を過ぎて、「日常生活の世話」という面では手がかからなくなるため、ふっと肩の荷が下りて、油断してしまう時期だと思うのですが(赤ちゃん時期から続いてきた子育て疲れも溜まる時期!)、最初頃、読み聞かせに持っていた情熱を、この時こそ持ち続けないと、折角のそれまでの努力が無駄になってしまう可能性があるくらい、実は敏感な時期なのでは?とも思ったりします。(この後には、本格的な「思春期」がやってくるわけですが・・・。この「思春期」に関しては、逆に、過剰ともいえる反応がある気が・・) ・・・でもやはり、真面目国・ドイツは、流石!小学生低学年の子供向けに、微妙で繊細なテーマを取り上げた本が割と多くあって、この中間層の空洞を憂えている作家たちが、本を通して、本来の素朴な意味での「恋」や「友情」の気持ちをメッセージとして伝えています。 例えば、うちの7歳の長女が、今年の誕生日にお友達からプレゼントされた、この本。 男の子と女の子の恋の気持ちが少し入り混じった友情を描いた内容で、優しいタッチの絵と言葉で綴っています。 細いリボンで出来たしおりの先についた、お風呂で本を読むネズミを模ったマスコットも可愛い♪これに惹かれて、子供が書店で、この本を手に取るかもしれません!こういう細かい演出も、難しくなってくるお年頃の小学校低学年の少年少女の心を掴むには、見落とせません。 この本の中では、男の子が、女の子を慕う気持ちが、自然な流れで描かれているのですが、その気持ちを、大人も使うドイツ人の恋をしていることの形容、「“Schmetterlinge im Bauch(蝶々がおなかにいる感じ)”」と描写していて、これによって、半無意識に「蝶々がおなかにいる感じ」を小学校で味わい(?)、もやもやしている子供たちは、本を読んで、「これは・・・」と、恥ずかしいことでなく、自然なことであると“気付き”を得るわけですね。このWahrnehmung(意識的認知)によって、無用にシャイになる少年少女が減り、ゆくゆくはオタク人口が減って、もっと健康的で素朴な恋する気持ちや優しい気持ちを持ち続けることの出来る大人たちが増えるのでは・・・!!と思うのは、私だけでしょうか?!
by mikiogatawestberg
| 2011-09-16 22:58
| 本・Books・Buecher
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