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選挙運動、高いところにポスターを掲げる理由。

今、私の住んでいるフランクフルト(ヘッセン州)では、選挙が近くなり、政治家の笑顔と様々な選挙公約を告げるポスターで、街中があふれかえっています。

ポスターは、車を運転中でも、歩道を歩いていても目に入りやすいように、大抵のものは、人間の身長以下くらいの高さに貼られているのですが、その中でも一党だけ、どんな大男がジャンプしても届かないような高いところ、とても見えにくいところにポスターを掲げている党があります。その名もNPD。
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「私たちは、片付ける」という直接的でアグレッシブなドイツ語表現と、白い羊が、黒い羊(主に外国人などを意味している)を追い出しているイラスト。極端な右翼の党です。

ドイツでNPDを支持している人(本格的な右翼)は少数ですが、確実に存在しているのは確か。資金力があるのか、ポスターの数では、他の党より勝っているくらいの感覚です。誰も届かないような高さにポスターを貼るのは、簡単に剥がされたり、壊されたりされないようにするためなのです。

現に、NPDがポスターを貼った後、数分後には、すぐに全て剥がされたり・・・というのもよくあること。NPDとしても、それを見越した行動なわけです。

それでも、どうやってこんな高いところに登った?のか、このポスターは既に、緑色のペンキがかけられています。この通りでない、他の通りのポスターは、全てグレーのペンキがかけられていました。NPDに反対する人々の主張と行動です。
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NPDの下に、赤地に黄色文字は、対抗軸DIE LINKE(左翼)のポスター。
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ポスターを高いところに貼ったり、ペンキをかけたり、、、どちらもどっちで、幼稚?そんなことをやっている暇があれば、他にもっと生産的なことをすれば?とも思ってしますが、日本の白けた選挙と比べると、やっぱりヨーロッパは、まだ「政治」が強い国なのかなとも思います。

立場の違うもの同士の意見のぶつかり合い、主張の行き違い、時には生活や命が関わることもある自分自身の利益追求など、普段思っていることが、顕著に言動に出やすくなるのが、ドイツの選挙時期でもあります。ドイツには、外国人問題という深~い問題もあるのですが(他にも沢山の問題があると思いますが)、ちょっとこすれば火がつきそうな危険さと緊張感がいつも日常生活と隣り合わせ。

日本にいると、戦って何かを勝ち取るとか、生き抜くとか、そんな切羽詰った状況になることは滅多にないと思うのですが、それがいいことなのか、悪いことなのかは別として、そういう姿勢や視野を持つことは、グローバルな社会の中では、実はとても大事なことでもあるということを、私はドイツで実感してもいます。
by mikiogatawestberg | 2008-01-16 06:07 | 政治・Politics・Politik
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